コートダジュールのヴィラ その3

 シリーズの三回目は、カンヌにある邸宅ヴィラ・ドメルグ(Villa Domergue)。


 カンヌ映画祭の最高賞であるパルム・ドールはここで決定されます。


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 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年5月15日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら




 映画祭の会場パレ・デ・フェスティヴァルのある海岸沿いのラ・クロワゼット大通り。


 そこから数キロのところにある、なにやらイタリア風の建物。それがヴィラ・ドメルグです。


 出来たのは1929年。造らせたのは画家であるジャン=ガブリエル・ドメルグ。


 イタリアのフィレンツェ近郊の町フィエーゾレで見たトスカーナ風のヴィラをもとにドメルグ自らがデザインして建てさせました。


 庭のデザインはドメルグの妻であり彫刻家でもあったオデット。


 なんとなく彫刻家らしい庭の作りです。


 「ドメルグ氏はトスカーナ地方のフィエーゾレにあったヴィラにヒントを得てこの家を建てさせました。そのため、最初はここはヴィラ・フィエーゾレと呼ばれていたんです」と庭の管理責任者。


 ドメルグ夫妻は1932年からここで暮らし始めました。


 当時ここでは、カンヌでも一二を争うほど華やかなパーティが開かれていました。


 ジャン=ガブリエル・ドメルグは、社交界の画家でした。自らをピンナップの発案者と呼んでいたそうです。


 「薄手の部屋着をまとった女性の絵が当時はちょっと問題になったりしました。でも、たくさんの女性がドメルグに自分を描いて欲しいと願っていました。その一人がジョセフィン・ベーカーです」と広報担当の女性。


 最後に出て来たヌードの女性の絵がジョセフィン・ベーカーのようです。


 こちらのヴィラも一般公開されていますが、7月〜9月の3ヶ月のみ。


 現在は映画祭用にリザーブされています。


 ここに今年の審査委員長のスティーブン・スピルバーグとその他の審査員が集まり、パルム・ドールをどの映画に授与するかが決定されます。


 寝室があるようなのでここに宿泊する審査員もいるということでしょうか?


 一方、庭では庭師が花を植えていました。今年はすでに数日間で6,000の花が植えられたそうです。


 建物の壁には、ドメルグの描いた壁画が残されています。


 一ヶ月ほど前には壁紙の下に隠れたドメルグの作品が発見されました。


 未完成の作品で、クレヨンの下書きが残されたままになっています。


 1962年にドメルグが亡くなると、未亡人がこの邸宅をカンヌ市に遺贈し、現在では映画祭を始め、様々な催し物に使われています。


 庭には生前ドメルグがデザインしていたお墓があります。


 夫婦はここになかよく眠っているそうです。


 


******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、ずっと前から気になってた女の子に声をかけた。『今晩、映画のチケットを2枚もってるんだけど』すると彼女が言った。『すご〜い!それなら2回も観に行けるわね』」

 

VDM (Vie de merde)より

この記事へのコメント

2013年05月23日 09:08
ここもテラスからの眺めがいいですね。お庭はきれいに刈り込まれた木や階段状になっていて立体的で素敵ですね。フィエゾーレってフィレンツエの発祥の地といわれるところですよね。確かにどことなくトスカーナの香りがする建物ですね。
2013年05月24日 13:24
yuzuhaneさん
庭が面白い造りになっていました。立体的なところがなんとなく彫刻家だなと感じてしまいました。フォエゾーレってフィレンツェの発祥の地なんですね。ドメルグさん、そこのヴィラがよっぽどか気に入ったんでしょうね。
2013年05月26日 23:48
確かに庭が立体的だし、何より植栽が「塊」として独立して存在してみえるところも彫刻っぽいですよね。ホテルの部屋に籠って審査するよりも、こういう環境の中で審査した方が、新しい試みや創造性を評価するようになりそうです!
2013年05月30日 00:43
opas10さん
全体に立体的で、木々が彫刻に見えました。
変にかしこまったヴィラではなく、わりに開放的で、こういう審査には向いているような感じがします。