トマトの味
暑い夏には、冷たいトマトに塩をふってがぶりとやりたくなりますが、実際に食べてみると、昔の味と違うなと感じてしまいます。
どうやらフランスでも同じように感じている人がたくさんいるようです。
締まりのない味と妙にでんぷん質を感じさせる舌触り。
その原因はいったいなんなのでしょう?
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トマトはフランスでは人気の食材の一つ。
市場には様々な種類のトマトが並んでいます。
「あの味わいが良いですねえ」
「気取らないで仲良く皆で食べられるところがいいですね」
イタリアではトマトのことを “黄金のりんご”というそうです。
つまりポモドーロ。パスタのメニューに登場するポモドーロはそういう意味だったのですね。
フランス語で“黄金のりんご”はポム・ドール(pomme d'or)。
そう言われて、ポモドーロの意味に納得しました。仏語と伊語は似てます。
そんなトマトも、食べてその味にがっかりする人も多いとか。
「夏食べても冬食べても、味がしなくなりました」とマダム。
あの味はいったいどこへ行ってしまったのやら……。
現在、フランスのあちこちで食べられているトマトは、スペインやオランダのビニールハウスで育ったトマト。
大きさが揃えられ、運搬に耐えうるように品種改良された、いわばハイブリッドのトマトなのです。
丈夫で取り扱いが楽で長期保存も可能になった反面、それまでの味は失われてしまいました。
トマト本来の味を求めるなら時間をさかのぼらなければなりません。
フランス中西部、アンドル=エ=ロワール県にあるラ・ブルデジエール城(Château de La Bourdaisière)の庭の菜園では昔の品種のトマトが栽培されています。
その広さは1ヘクタールほど。全部がトマトです。
その品種は640種類にも及ぶそうです。世界でもこれだけの品種を集めたトマト園は他にはありません。
最後に輪切りにしてくれたトマトは、しっかり実がつまってはいるものの、種は少なくみずみずしいトマトでした。
昔はこんな感じのトマトが多かったような気がします。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ピッツァを食べた。ほっぺたにトマトソースがついたままになっていたのに、誰も教えてくれなかった」
VDM (Vie de merde)より
この記事へのコメント
トマトだけでなく、とうもろこしなどの野菜も糖度優先の品種改良が行われているようです(フルーツトマト、フルーツコーンと呼んだりします)。酸味のあるイチゴもなくなりました。トマト、昔は塩をかけて丸かじりしましたね。
最近のトマトの味はパンチに欠けるような気がします。昔はかじるときゅんとした味がしたものですが、今のはそれがありません。野菜作りも一大産業と化してしまった感じですねえ〜。
野菜の味も癖がなくなったような気がします。
ポモドーロは、パスタの原点ですよね... 一番好きです。
そうなんです、そういう力強い味のするトマトはほとんどないと言っていいくらいです。野菜は全体にぼんやりした味のものが多いですね。それに玉ねぎなんかは火を通すとやたら甘かったりします。
近隣の国にはやはり似た単語があるものですね。同じロマンス系の言語ですし。日本語と韓国語にも音が似た単語(漢語以外)もあるようです。
長いトマトを家庭菜園をしていた時に育てましたが、けっこう肉厚で美味しかったですよ。煮込み料理にはこちらの方がよかったです。色が違うトマトはどうも先入観が災いをしてまずそうに見えてしまいますねぇ。
いつもポモドーロとか言ってお店でパスタを食べているのに、今日までその意味を知らないでいました。
長いトマトは火を通した方がおいしいですね。小規模で丁寧に栽培すれば美味しいトマトも育つのでしょうけど、大量生産になると、どうしても味より生産性の方が優先されてしまうのですよね。
最近のトマト作りは甘みを追求してますね。でも、あの酸味が効いているからトマトなんだと思うんですよ。暑いときに、冷たくて酸味の効いたトマトを食べるとなぜか元気になったりします。