食の愛好協会 その2 〜シピロン〜
シリーズの二回目は、バスク地方の海で穫れるシピロン(chipiron)と呼ばれるイカ。
このシピロン、どうもヤリイカの仲間のようです。フランス南西部ではシピロンと呼ぶそうです。今日は、海岸沿いの二つの村を訪ねます。
ビダール村の人口は5800人ほど、ゲタリー村は1400人ほど。
下記ウィンドウの▶をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年10月11日に放送)(▶をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
朝8時。朝日がゲタリーの海岸をいっぱいに照らす頃……。
今回のシピロン愛好協会は、なにやらキリスト教の洗礼の雰囲気。ここはビダールにある泉の湧き出る昔の洗濯場。
シピロン、一度食べたら分かります
その美味しさが
シピロンのおいしい料理で出てきたら
お残しはいけません
などと愛好協会がやっている間に、ベニャットさんはゲタリーの港から舟を出し、シピロン漁へ。
釣り糸とルアーを使ってシピロンを釣り上げます。
糸の先端には重り、その後にルアーを付け、海の床まで糸をたらし、しばらく待つと、釣れます。
シピロンはこうやって一杯ずつ釣るのが原則です。これで午前中いっぱいを過ごします。
たまにはタコが釣れてしまうこともあるとか。そして、20杯も釣れる日もあれば、5、6杯しか釣れない日やゼロの日もあります。
ゲタリーではシピロン漁に出る漁師がたくさんいるそうです。ダニエルさんもその一人。
「シピロン漁は、日の出前か夕方遅くがベスト。夜、ランプを使えば良く釣れますが、それは固く禁じられています」
シピロンの調理法は様々ですが、通が好むのは、釣れたまま洗わずに香辛料をまぶしてオリーブ油でさっと炒めるだけのシンプルな料理。
ビダールでは、愛好協会のメンバーが頻繁に集まってはシピロンに舌鼓を打つそうです。
「丁寧に釣るとスミがしっかり残っていて、おいしいソースになります」
「シピロンはあれこれ味付けする必要はありません。シンプルに炒めるだけでおいしく食べられます」
「シピロンに乾杯!」
なんだかシピロンをおつまみに、ビールが飲みたくなってきました。
バスク地方には、このような愛好協会が約10団体もあるそうです。あのガトーバスクの協会もこの一つですね。
どの村も、特産品をアピールして、村の発展の足がかりにしたいのかもしれません。
番組に登場したシピロン愛好協会の最古参会員がピエールさんです。
どうしてシピロンなんですか?という取材班の問いに「土地のものだからじゃよ。海の恵みだしね」とおっしゃっていました。
そして、皆さん、漁の安全を願って、教会でお祈りすることも忘れません。
印象的な教会の内部でしたが、外観はこんなふうです。
次回は、ピカルディ地方の郷土料理です。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、フライパンが熱くなったかどうか確かめたら、指の指紋がなくなった!」
VDM (Vie de merde)より
この記事へのコメント
それにしても”入れ食い”状態ですね。美味しそうなお料理です。
香りまでして来そうでした。
この地元の特産品のPRなどを行っているコンフレリーと呼ばれる愛好協会の活動費はどこからでているのでしょうか? 特産品の製造者・販売者から? 行政から?
それとも手弁当? 興味があります。
"入れ食い"は、夜、ランプをつけて釣るとそうなるのかもしれませんが、禁止ですからねえ。あまり釣りすぎてはいけないのかもしれません。フライパンの映像はすごかったですね。イカが食べたくなってしまいました。
先日、wattanaさんにコンフレリーのことを説明しながら、具体的にどんな組織なのかなと私も興味を持ちました。ちょっと調べてまたお返事します。
地元の特産品をアピールするために作られた団体ですが、なんだか自分たちが好きで食べてるように見えてしまいますねえ〜。
最古参会員の方の「地元の海の恵みだから」というのが、なんとなく心に響きました。人間の生活ってこんな風じゃないといけないかななんて思います。
海岸で話をしていた三人のおじさんの一人が「洗わない!」と強調してましたから、洗うのと洗わないのとでは味が違ってくるみたいです。たぶんカラマリはシピロンと同種のイカじゃないかと思います。やたら美味しそうなんですけど、イカって、コレステロールの塊みたいなもんなんですよねえ〜。