聖アガタのお祝い

 先週2月5日は、キリスト教の聖人である聖アガタをお祝いする日でした。

 オード県の小さな村サレル=カバルデスではちょっと変わった伝統行事でこの日を祝います。

Paris_Salleles01.jpg


Sallèles-Cabardès


 村の人口は100人ほど。聖アガタの日は、夜を徹して教会の鐘を鳴らし続け、村に雹が降ってこないように、また葡萄園を守ってくれるように祈るのだそうです。下記写真をクリックして映像をご覧下さい。


StAgathTV.jpg


 何しろ鐘の音を途切れさせてはいけないので、村人総出で教会の鐘をならします。これでは、鳴らす方も聞かされる方も一晩中眠れませんね。幸いこの日は土曜日。翌日はお休みです。


 この日に鐘を鳴らすのには次のような伝説があるからのようです。


 聖アガタは、西暦251年に殉教し、聖人に列せられた実在の女性です。


 伝説によれば、シチリア島カターニアの貴族の娘として生まれ、美貌の娘として知られていましたが、キリスト教の信仰にその身を捧げていました。


 そんなとき、身分の低い家柄の出でありながらローマ帝国のシチリア総督だったクインツィアノが、彼女の美貌と財産めあてにむりやり結婚しようとします。信仰に身を捧げていたアガタが拒否したため、クインツィアノは彼女を監禁し拷問にかけます。その拷問の一つが、やっとこで乳房をはぎ取るというもの。この時、アガタは命を取り留めますが、結局は度重なる拷問で死んでしまいます。アガタが息を引き取ると同時に町は大きな地震に見舞われます。


 その後、いくつかの伝説が加わり、聖アガタは、カターニアをはじめいくつかの町の守護聖人に、また、乳母、宝石商人、鐘作り職人の守護聖人になったそうです。鐘と結びついたのは、どうやらその形が乳房に似ているからのようです。


Santa Agueda - Zurbarán (cut)


 村人たちは夜っぴて鐘をならさなくてはならないので、教会に泊まり込みです。暖炉では美味しそうなソーセージが焼かれていました。お腹が空いては鐘をならすこともできません。



******** フランス人のつぶやき *******


「今日、僕は学生です。歩道沿いの静かなところに部屋を見つけて住んでいます。ところが、向かいには教会があって、朝の7時丁度に鐘がなります。5分間も鳴り続けるんです。しかも、一年以上も続いてます」


VDM (Vie de merde)より

この記事へのコメント

2011年02月09日 07:17
carotte さん、 (加熱加工していない)生ソーセージのようですね。
2011年02月09日 08:52
wattanaさん
そうですね、生ソーセージのようです。
あれだったら、一度に焼いて、切って食べればいいだけですから、大人数の場合は楽かもしれません。
2011年02月10日 01:27
ヨーロッパに行って1晩めの夜があけると教会の鐘の音で
目が覚めて、「ああ、そうか!」って旅行に出たことに気づく
ことがあります。(なんか変な例え方ですが…)熟睡すると
なんだかどこに居るか分からなくなるもので^^?
ヨーロッパの美術館で、時々このような構図の絵を見かけますね。
2011年02月10日 08:09
orangeさん
はい、そういう経験あります。
しばらく部屋を見回したり、外の音で、ああ、そうだったと気づいたりしますね。特に移動した後は熟睡してしまいますし。
この聖アガタの絵はいろいろあるみたいです。かなり露骨なシーンを描いたのもありましたが、かわいらしいのを選んでみました。
2011年02月11日 13:24
石造りの教会の中が、実に素朴で質素でいいですね。それにしても階段の真下とは妙なところで火をおこすものです。焙ったソーセージが美味しそう!!
2011年02月11日 16:41
opas10さん
さすが目の付けどころが違いますね。^^
確かに階段の真下で火をおこしてました。
皆、素朴な人たちばかりでした。鐘を鳴らして嵐を追っ払うとか言ってるおじさんもいました。